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三 国 志

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〇〇六   名族、起つ





洛陽(らくよう)の都

献帝
(けんてい)

幼い新皇帝


「ち、朕が新たに即位したりゅうきょ……献帝である。
と、董卓から辞令を言い渡す」
献帝
(けんてい)


「フハハハハハハ! 恐れ多くも陛下からの辞令だ。心して聞くがいい!
袁紹(えんしょう)は北へ、孫堅(そんけん)は南へ、
皇甫嵩(こうほすう)は西へ、朱儁(しゅしゅん)は東へ飛べ!」
董卓
(とうたく)


「……か、かしこまった」
皇甫嵩
(こうほすう)


「どうした返事が小さいぞ!?」
董卓
(とうたく)


「ははっ!」
皇甫嵩
(こうほすう)
朱儁
(しゅしゅん)
袁紹
(えんしょう)


「ははあ(超だりィ……)」
孫堅
(そんけん)




洛陽の都 王允邸

士孫瑞
(しそんずい)

大臣


「董卓め、皇帝陛下と大将軍の仇討ちをしたなどと白々しいことを。
放っておけばあやつこそ陛下や将軍を亡き者にしただろうに。
飾り物にされた幼い陛下がおかわいそうだ……」
王允
(おういん)


「しかし今や董卓には誰も逆らえぬ。主だった将軍も皆、地方へ飛ばされてしまった」
士孫瑞
(しそんずい)


「いや、一人だけ心当たりがあるぞ。曹操ならば、董卓と戦えるやもしれぬ」
王允
(おういん)


「曹操というと……あの宦官と黄巾賊の癒着を暴いた門番か。
その功績で出世し宮廷にいるそうだな。なかなか気骨のある男だとは聞いているが」
士孫瑞
(しそんずい)



洛陽の都 曹操邸



「曹操よ! せっかく出世して名族に並んだばかりなのに気の毒だな!
名族は南皮(なんぴ)に赴任することとなった! またお前に先んじてしまったわ!」
袁紹
(えんしょう)


「やれやれ、左遷を栄転だと誤解するとは、あいかわらずおめでたいね袁紹君は」
曹操
(そうそう)


「何か言ったか?」
袁紹
(えんしょう)


「なんでもないよ。それより、お祝いにこの手紙をあげよう。
いや、今は読まないでくれ。もし誰かに追われて命の危険を感じたら、追っ手にそれを見せるといい」
曹操
(そうそう)


「?? あいかわらず貴様は訳のわからないことを言うな。
しかし名族はもらえる物はなんでももらうぞ! さらばだ曹操!」
袁紹
(えんしょう)


「……さて、お待たせしてしまったね。士孫瑞君、だったかな」
曹操
(そうそう)


「曹操よ、もはや都にはお主をおいて頼むべき人物は見当たらない。
どうか、この国と陛下のために董卓を――」
士孫瑞
(しそんずい)


「おっと、それ以上は言わなくていい。言われなくても話に察しはつくし、誰が聞いているかもわからないからね。
なに、心配はいらないさ。もう手は打った。あとは彼がどうにかしてくれるよ」
曹操
(そうそう)


「彼?」
士孫瑞
(しそんずい)



洛陽の都 近郊 間道

李稚然
(りちぜん)

董卓四天王の一人


「なぜだ! なぜこの名族が追われなければならぬのだ!?」
袁紹
(えんしょう)


「待て袁紹! 陛下の勅命によりお前はここで死ぬのだ!」
李稚然
(りちぜん)


「冗談ではない! そ、そうだ。曹操がくれた手紙が……。
ええい、追っ手よ、これを読めい!」
袁紹
(えんしょう)


「何だこの紙切れは? なになに……『袁紹は董卓追討軍を結成して立ち上がる。
まずは宮廷を焼き払ってやる。首を洗って待っていろ』だと!?
魔王様が危ない! 引き上げるぞ!」
李稚然
(りちぜん)


「と、董卓追討軍だと!? なんだそれは!? どういうことだ曹操!?
し、しかしここは奴の言うとおりにするしかあるまい……。
やむをえん。冀州に逃れ、名族の名のもとに兵を集めるぞ!」
袁紹
(えんしょう)



洛陽の都 董卓軍 陣営

郭汜
(かくし)
李儒
(りじゅ)
華雄
(かゆう)

董卓四天王の一人

董卓の軍師

董卓四天王の一人


「フハハハハハ! 袁紹め、早くもしっぽを出しおったな!」
董卓
(とうたく)


「これは好機です。奴めに魔王様に歯向かう愚か者を集めさせ、一網打尽にしてしまいましょう」
李儒
(りじゅ)


「おお! 目にもの見せてくれるわ!」
李稚然
(りちぜん)


「御意のままに!」
郭汜
(かくし)


「魔王様! ならばこの俺に先陣を命じてください!
北の大地で鍛えられた我らの恐ろしさを見せてやりましょう!」
華雄
(かゆう)


「おお、よくぞ申した華雄! 烏合の衆を蹴散らしてやれ!」
董卓
(とうたく)





かくして袁紹は成り行きのまま、董卓追討軍を結成することとなった。
はたしてそれは魔王・董卓に対抗しうる勢力になるのか?
そして裏で糸を引く曹操はどう動くのか?




〇〇七   董卓追討軍