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三 国 志

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〇〇九   曹操の初陣





洛陽の都 宮廷



「何ィ? 曹操のヤツめ、しばらく姿を見ないと思ったら、この洛陽に向けて進軍しているだと?」
董卓
(とうたく)


「だが曹操の手勢は少ないし、反乱軍から合流する兵もごくわずかだそうだ」
董旻
(とうびん)


「ならば吾輩が動くまでもない。四天王……いや、華雄のバカが死んだから三天王か。三天王に曹操を襲わせろ!」
董卓
(とうたく)


「兄貴、呂布の守る虎牢関には援軍を送るか?」
董旻
(とうびん)


「フン、反乱軍に負けるとは見損なったが、それでも城くらいは守れるだろう。その必要はない」
董卓
(とうたく)




洛陽の都 西方



「曹操、思い切った策に出たな。まさかこの程度の兵力で都を攻めるとは思わなかったぞ」
戯志才
(ぎしさい)


「策も何もないよ。玉砕は覚悟の上さ。この戦で曹操の名を天下に知らしめることだけが目的だ。
……それにしても戯志才君、僕をたきつけておいて、まるで他人事のように言うんだね」
曹操
(そうそう)


「責任転嫁はよくないぞ。私はお前の行く道に従うだけさ。
……おっと、無駄話はここまでのようだな。早速、董卓軍のお出ましだ」
戯志才
(ぎしさい)


「そんな小勢で都を攻めようとは、見くびられたものだな。この徐栄がここから先は通さぬ」
徐栄
(じょえい)


「どうする曹操? 敵は徐栄だけではなく、我々を包囲しつつあるようだ」
戯志才
(ぎしさい)


「迷うことはない。突撃して道をこじ開けるんだ!」
曹操
(そうそう)


「かかれッ!!」
曹洪
(そうこう)


「しゃにむに突撃するだけとはなんと愚かな。李稚然、郭汜よ! 曹操軍を包囲殲滅せよ!」
李儒
(りじゅ)


「おうよ!!」
郭汜
(かくし)


「やれやれ、兵が少ないというのは悲しいものだな。
この私の智謀をもってしてもどうしようもない」
戯志才
(ぎしさい)


「曹操様! もはや持ちこたえられんぞ! 早く逃げるんだ!」
曹洪
(そうこう)


「もう十分に痛手は与えた。我々の奮戦ぶりは各地に伝えられることだろう。
さあ曹操、時間を稼いでやるからお前はさっさと逃げろ」
戯志才
(ぎしさい)


「…………」
曹操
(そうそう)


「また迷っているな? いいか曹操、お前はこの戦を機に飛躍するだろう。
そうすれば私程度の人材など、掃いて捨てるほど手に入るのだ。
迷うことなど無い。私を見捨てて逃げろ」
戯志才
(ぎしさい)


「戯志才君……」
曹操
(そうそう)


「曹洪、この軟弱者を連れていってくれ」
戯志才
(ぎしさい)


「おう。……済まんな、戯志才」
曹洪
(そうこう)


「待て曹操! 三天王筆頭・李稚然がお前の首を頂く!」
李稚然
(りちぜん)


「そうはいかない。この私がお相手しよう。
……とは言え、弱い私に稼げるのは十秒がいいところだろうな」
戯志才
(ぎしさい)


「邪魔するヤツは死ねえええッ!!」
李稚然
(りちぜん)


「曹操、死ぬ前の十秒に私を思い出せ。その十秒は、戯志才がくれた十秒だとな……」
戯志才
(ぎしさい)



洛陽の都 西方 曹操軍



「曹操、到着が遅れて済まぬ!」
鮑信
(ほうしん)


「敗残兵は我が軍が収容した。俺たちの戦力では董卓軍に勝てない。早く逃げ出すぞ」
王匡
(おうきょう)


「……ああ、恩に着るよ」
曹操
(そうそう)


「なんの、お主の戦いぶりに我々も奮い立った!
今は我々三人だけだが、心ある者が続々と駆けつけてくれるだろう」
鮑信
(ほうしん)


「曹操様、いったん故郷の譙(しょう)に帰ろう。
曹仁(そうじん)の兄貴や、夏侯(かこう)兄弟が兵を集めて待っている」
曹洪
(そうこう)


「ああ、戯志才の心を無駄にしないためにも、今は耐え忍ぼう。
そしていつか戻ってくるんだ、この洛陽の都に……」
曹操
(そうそう)



洛陽の都 西方 董卓軍



「ククク……逃がすものか。曹操軍に追撃をかけよ! 魔王様にあだなす者を皆殺しにするのだ!」
李儒
(りじゅ)


「ぐ、軍師! 反乱軍の背後に残した樊稠(はんちゅう)から急報だ!
敗走したはずの孫堅軍が都に奇襲をかけたそうだ!」
郭汜
(かくし)


「なんだと!? 孫堅め、やってくれたな……。不本意だが都に戻るぞ!」
李儒
(りじゅ)


「おっと、情報が正確じゃねェようだな。
都を攻めたのは程普(ていふ)と韓当(かんとう)だけだぜ! 孫堅はここだ!」
孫堅
(そんけん)


「げえっ! 孫堅が現れたぞ!!」
郭汜
(かくし)


「軍師殿、ここはお逃げ下さい!」
徐栄
(じょえい)


「てめェ、祖茂(そも)を殺したヤツだな! ちょうどいい、仇討ちしてやるぜ!」
孫堅
(そんけん)


「ぐああッッ!!!」
徐栄
(じょえい)



洛陽の都 宮廷

張繍
(ちょうしゅう)

董卓の配下


「どういうことだ! 孫堅のヤツは李儒が倒したのではなかったのか!?」
董卓
(とうたく)


「孫堅にいっぱい食わされたようだ。曹操も鮑信、王匡と合流して再攻撃してくるかもしれん。どうする兄貴?」
董旻
(とうびん)


「吾輩が守る洛陽は鉄壁だ! 孫堅や曹操が束になってかかってきても――」
董卓
(とうたく)


「長安(ちょうあん)から急報です! 馬騰(ばとう)、韓遂(かんすい)の騎馬軍団が襲撃してきたとのこと!」
張繍
(ちょうしゅう)


「…………。弟よ、たしか長安には孫娘の董白(とうはく)がおったな」
董卓
(とうたく)


「あ、ああ。長安なら董白の父親の牛輔(ぎゅうほ)が守ってるから心配はいらな」
董旻
(とうびん)


「吾輩は急に董白の顔が見たくなった! 吾輩は長安に帰るぞ!」
董卓
(とうたく)


「え、あ、兄貴。じゃあ洛陽はどうするんだ?」
董旻
(とうびん)


「フハハハハハ! もはや洛陽などに未練はない!
長安に遷都だ! 献帝(けんてい)をつれて長安に移るぞ!
洛陽など焼き払って反乱軍にくれてやれいッ!!」
董卓
(とうたく)



虎牢関

張遼
(ちょうりょう)
高順
(こうじゅん)

呂布の配下

呂布の配下


「sdl;;aki123456789」
呂布
(りょふ)


「大変ですみなさん。ミスター董卓は移動しました。洛陽を捨て、長安へと。
私たちに連絡はありません。ですが早く逃げたいと思います。孤立をする前にです」
陳宮
(ちんきゅう)


「つまり魔王様はオレらを見捨てたっつーことか?」
張遼
(ちょうりょう)


「fgsdjlsdasdak;987654321」
呂布
(りょふ)


「そうではありません。少し連絡が遅れているだけでしょう。
洛陽を捨てるのならば、もう虎牢関も必要ないです。だから逃げるのです。それだけのことですよ」
陳宮
(ちんきゅう)


「大将は気が良いからそう取るんだろーけどよ。これは間違いなく見捨てられたんだと思うぜ?」
張遼
(ちょうりょう)


「やめろ張遼。魔王様の意思は関係ない。我々は呂布様に従うだけだ」
高順
(こうじゅん)


「…………」
呂布
(りょふ)



洛陽の都


「ああ、偉大なる先帝たちよ……。
朕が不甲斐ないばかりに、都を捨てることをお許し下さい……。
朕は必ずや、必ずやいつの日か、この都に戻って参ります……」
献帝
(けんてい)


「フハハハハハ! 陛下、何をそんなに嘆かれるのだ。
長安には吾輩の孫娘がいる。陛下と年齢も近いし、良い遊び相手になってくれるだろう!」
董卓
(とうたく)


「……(董卓め、いつまでも貴様の天下が続くと思うなよ……)」
王允
(おういん)





かくして董卓は洛陽を捨て、長安へと強引に遷都した。
はたして孫堅、袁紹ら董卓追討軍は焼け野原となったかつての都に何を見るのか?
そして董卓の栄華はいつまで続くのか?




〇一〇   西涼の鉄騎兵