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三 国 志

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〇一二   界橋の戦い





平原(へいげん)

督郵
(とくゆう)
簡雍
(かんよう)

朝廷の視察

劉備の腹心


「お前はまだ自分のやってることがわからんのか!」
劉備
(りゅうび)


「…………ッ!」
関羽
(かんう)


「ヒイヒイ」
督郵
(とくゆう)


「ち、ちょっと何やってんのよアンタら!!」
張飛
(ちょうひ)


「見ればわかるじゃろ。関さんと一緒に董卓の手先を懲らしめてるんじゃ」
劉備
(りゅうび)


「そ、そいつは董卓の手先じゃないわ! 皇帝陛下の勅使よ!」
張飛
(ちょうひ)


「こいつが? 陛下の? わしの親戚の?」
劉備
(りゅうび)


「アンタの親戚かどうかはともかく、陛下のもとから視察に来たんじゃないの!
それを鞭打つなんて何考えてんのよ……」
張飛
(ちょうひ)


「はっはっはっ。張さん、そりゃ何かの間違いじゃ。
だってこいつはワイロを要求したんじゃぞ。陛下の使者がそんなことをするわけなかろう」
劉備
(りゅうび)


「わ、私は、陛下の、勅使、です……」
督郵
(とくゆう)


「まだ言うかこいつめ。やってやれ関さん!」
劉備
(りゅうび)


「…………ッ!」
関羽
(かんう)


「ヒイィィィィッ!!」
督郵
(とくゆう)


「あーあ、気絶しちゃったわ……。関羽の馬鹿力で殴ったら当然よ。
いい劉備? 陛下の勅使と言ってもね、いろんな人種がいるのよ。
こいつみたいなワイロを要求するロクデナシもいるし、董卓に尻尾を振るヤツだっているわ。
でも勅使なのよ! だから鞭打ったりしちゃ絶対ダメ!!

……ああ、何であたい、こんな当たり前なことを説明しなきゃいけないんだろ。もうサイテー」
張飛
(ちょうひ)


「おーい劉ちゃん。お客さんが来たぞ」
簡雍
(かんよう)


「おお簡ちゃん。誰だいお客さんって」
劉備
(りゅうび)


「なんでも隣国の孔融(こうゆう)って人が、黄巾賊の残党に城を攻められてて、援軍が欲しいんだと」
簡雍
(かんよう)


「ほおう。面倒くさいから断っといてくれ、簡ちゃん」
劉備
(りゅうび)


「ダメよ! 絶対ダメ! 受けなさい!」
張飛
(ちょうひ)


「ど、どうしたんじゃ張さん」
劉備
(りゅうび)


「孔融といえば、あの孔子の子孫でものすっごい名声の高い人なのよ!
孔融に取りなしてもらえば、もしかしたら督郵をフルボッコにしたことも許してもらえるかもしれないわ!
援軍を出して孔融に恩を売るのよ!」
張飛
(ちょうひ)


「ええー面倒くさいのう」
劉備
(りゅうび)


「つべこべ言わない! あと簡雍!!」
張飛
(ちょうひ)


「んん?」
簡雍
(かんよう)


「劉備の幼なじみだかなんだか知らないけどね、気安く劉ちゃんなんて呼ぶんじゃないの!
このスカポンタンはね、これでもいちおう名目上は県令サマなのよ。部下に示しが付かないでしょ!」
張飛
(ちょうひ)


「んー。でも劉ちゃんは劉ちゃんだしなあ。
それに張飛も劉ちゃんを呼び捨てだし、今もスカポンタンとかなんとか」
簡雍
(かんよう)


「あたいはいいのよ! あたいがどんだけこの甲斐性なしの世話を焼いてることか。
呼び方くらい好きにさせなさいよ!
とにかくさっさと出陣の準備をしなさい!!」
張飛
(ちょうひ)



界橋(かいきょう) 袁紹軍 陣営

田豊
(でんほう)
麹義
(きくぎ)

袁紹の軍師

袁紹の猛将



「思惑通り、平原(へいげん)を守る劉備は孔融の救出に向かいました。我々は労せずして平原を通過できます」
田豊
(でんほう)


「さすがは田豊である! 黄巾賊の残党を動かすとは考えたものだ。
……だが劉備ごときにそんな策を講じる必要はあったのか? 踏みつぶしてしまえばよかったろうに」
袁紹
(えんしょう)


「劉備はともかく義弟の関羽、張飛、それに公孫瓚のもとにいる趙雲は三人がかりながら、あの呂布と互角に戦いました。
兵は少ないとはいえ用心するに越したことはありません」
田豊
(でんほう)


「ふうむ、そういうものか。まあ、名族の倉に有り余っている金を少しつかっただけで済んだのだ。良しとしよう。
では公孫瓚との戦いはどうするのだ?」
袁紹
(えんしょう)


「戦略のことは私に、戦術のことは沮授にお尋ね下さい」
田豊
(でんほう)


「…………」
沮授
(そじゅ)


「どうした沮授? 韓馥には献策できても名族にはできぬと言うのか?」
袁紹
(えんしょう)


「いえ、少し考えをまとめていただけです。
公孫瓚は異民族との戦いで培った屈強な騎馬軍団を擁しています。しかし問題はありません。
こちらにも異民族との戦いに明け暮れた人材がいます」
沮授
(そじゅ)


「ひとつ俺に任せてもらいやしょう。なあに騎馬軍団など強弩部隊で足止めすれば、ただの大きな的です」
麹義
(きくぎ)


「おお、頼もしい言葉である。公孫瓚めに名族の力を思う存分見せつけてやるのだ!」
袁紹
(えんしょう)



界橋(かいきょう) 公孫瓚軍 陣営

関靖
(かんせい)


公孫瓚の腹心



「惨敗……ッスね先輩」
趙雲
(ちょううん)


「見ればわかる。わざわざ言うな」
公孫瓚
(こうそんさん)


「サーセン。……でも劉備先輩がいれば、なんとかなったかもしれないッス」
趙雲
(ちょううん)


「それも言うな。劉備は俺の配下ではない。あいつがどう動こうと文句は言えん。
そもそもあいつのような勝手放題の風来坊を頼みにするのが間違いだ」
公孫瓚
(こうそんさん)


「劉備先輩は昔っからああだったんスか?」
趙雲
(ちょううん)


「いや。昔よりもっと酷くなった。
あいつはまるで糸の切れた凧だ。風まかせにどこに飛んで行くかわからん。
今も孔融を助けに行っているが、このまま帰ってこないかもしれんな……」
公孫瓚
(こうそんさん)


「………………」
趙雲
(ちょううん)


「そんなことより国に戻るぞ。なあに心配はいらん。
騎馬軍団は失ったが、易京(えきけい)の要塞が完成すれば、袁紹など恐るるに足らん」
公孫瓚
(こうそんさん)


「そのとおり! 易京には十年を悠に過ごせる兵糧を貯えてあります。
天下の趨勢を眺めながら、のんびりと機を窺いましょう!」

関靖
(かんせい)



青州(せいしゅう)

焦和
(しょうか)
何儀
(かぎ)
何曼
(かまん)

青州の刺史

黄巾賊の残党

黄巾賊の残党



「諸君! 恐れることはない!
黄巾賊など、教祖を失ったただの暴徒だ!
彼らにこの偉大なる文化の聖地である青州を侵すことなどできないのだ!」
焦和
(しょうか)


「命まで取るとは言わん! おとなしく出てこい!」
何儀
(かぎ)


「はっはっはっ。聞いたか諸君、教養なき愚者の脅し文句などこの程度なのだよ。
我が青州があのような文化の「ぶ」の字も知らないような徒輩に破れるはずがない!」
焦和
(しょうか)


「截天夜叉・何曼いざ参上! 武器を捨てよ!」
何曼
(かまん)


「おお、なんと醜悪な仮面であろうか!
そのような物で表面を取り繕うとも、無学さを隠すことなどでき――ぶふぉっっ!?」
焦和
(しょうか)


「……さっきから何をくっちゃべってたんだこいつは?
流れ矢に当たって勝手に死んじまったけどよ」
何儀
(かぎ)


「たしか青州刺史であるはずだ。なんでも武装を放棄して、文化で州を治めていたとか」
何曼
(かまん)


「けっ。文化で飯が食えるかっての。
食えてるのはこの役所にいる人間だけで、民衆は飢えに苦しんでたじゃねえか」
何儀
(かぎ)


「おかげでたやすく青州を落とせたのだ。そう悪しざまに言うな。
それより、早く指導者様を迎えに行こう」
何曼
(かまん)


「ああ、俺たちの戦いはここから始まるんだ。
青州刺史のナントカさんよ、アンタの文化とやらは俺たちが飯の種に使わせてもらうよ」
何儀
(かぎ)



東郡(とうぐん)

卞喜
(べんき)

青州黄巾軍の頭目



「こ、黄巾軍がなぜ俺の東郡を襲うのだ!? お前らの目的はなんだ!?」
劉岱
(りゅうたい)


「知れたことを。お前もかつて東郡太守だった橋瑁(きょうぼう)に言ったそうではないか。
弱肉強食は世の習いだとな」
卞喜
(べんき)


「な、なぜ俺の言葉をお前たちが知っている……!?」
劉岱
(りゅうたい)


「我々、青州黄巾軍30万の情報網を甘く見てもらっては困るのだよ」
卞喜
(べんき)


「や、やめろ! お、俺を、天下に名の知られた名士の俺を殺したらどうなるか――。
ギャアアアアアアアア!!」
劉岱
(りゅうたい)


「やれやれ、この男、嫌っていた名士そっくりになっているではないか」
卞喜
(べんき)



長安の新都



「おお、呂布。いい所で会ったな。お前と話がしたかったんだ」
樊稠
(はんちゅう)


「fgkksa;klflllk.co.jp」
呂布
(りょふ)


「いつもの通訳はいないのか。でもたしか、話せないだけでこっちの言葉はわかるんだよな?」
樊稠
(はんちゅう)


「rbhklld;;afdjトテモ、スコシ」
呂布
(りょふ)


「少しか。まあ聞いてくれ。
お前は虎牢関を失い、また三対一とはいえ一騎打ちにも敗れたことで、魔王様から信頼を失ったようだ。
だがお前の実力は俺たちがよく知っている。魔王様も心の底では認めているだろう。
気を落とすことなく、これからも魔王様に仕えてくれ」
樊稠
(はんちゅう)


「……dgfjka;;l;dsoアリガト」
呂布
(りょふ)


「礼はいらん。ちょっと心配になったから声をかけただけだ。じゃあな」
樊稠
(はんちゅう)


「……あの男、顔に似合わず気が利くようだな。
やはり、早めに始末しておかなければなるまい」
賈詡
(かく)





かくして袁紹は公孫瓚を破り、北方の覇権を握らんとしていた。
また各地で黄巾賊の残党は蠢動し、魔王・董卓の意気も軒昂だった。
しかし乱世はさらなる大乱を巻き起こさんと、一陣の不穏な風を吹かせようとしていた。




〇一三   魔王の最期