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三 国 志

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〇二五   呂布、最後の戦い 前編





許昌(きょしょう)の新都



「反乱した張繍(ちょうしゅう)は宛城(えんじょう)に立てこもっています。
なお、南からは劉表(りゅうひょう)が進軍して様子をうかがっているとのこと」
荀攸
(じゅんゆう)


「あはは。さすが劉表、抜け目がありませんね。
我々と張繍が争っている隙に漁夫の利を得ようと企んでいるのでしょう」
荀彧
(じゅんいく)


「東も騒がしいぞ。呂布が徐州(じょしゅう)を乗っ取り、
袁紹は孔融(こうゆう)を追い出して北海(ほっかい)を占拠したそうじゃ」
程昱
(ていいく)


「さらに江東(こうとう)では袁術(えんじゅつ)君がニセ皇帝を名乗ったと。
ふむ、一気に忙しくなったね。まずはどこから手をつけようか」
曹操
(そうそう)


「無論、曹昂(そうこう)と典韋の仇討ちだ! 張繍の首を取るぞ!」
夏侯淵
(かこうえん)


「待て待て。張繍を相手にすれば、そのまま劉表との連戦になだれ込みかねんぞ。
それに背後に呂布や袁術を残しておくのは危険じゃ」
程昱
(ていいく)


「判断に迷うところだね。郭嘉君はどう思う?」
曹操
(そうそう)


「張飛」
郭嘉
(かくか)


「張飛? 呂布に追い出された前の徐州刺史ですか。
たしか我々に庇護を求めてきていたと思いますが」
荀攸
(じゅんゆう)


「なるほど、張飛君は陛下に任命された正当な徐州刺史だ。
張飛君を旗印に立て、彼に徐州を返還するよう呂布に命じろと言うんだね。面白いな」
曹操
(そうそう)


(あいかわらずよく郭嘉の言葉が通じるもんだ……)
夏侯惇
(かこうとん)


「張繍には我々に攻撃を仕掛ける戦力はありません。
北の袁紹はまだ公孫瓚(こうそんさん)と争っていますし、
江東の袁術も遠く離れています。呂布と戦うのが妥当でしょうね」
荀彧
(じゅんいく)


「よし、そうと決まったら張飛君をつれてきてくれたまえ」
曹操
(そうそう)



徐州(じょしゅう)




「DGKLL;;AKASDIKSDAJdfjsdk」
呂布
(りょふ)


「陛下がミスター張飛に徐州を返還しろと言っているのですね。
私もそう思っていました。喜んで応じましょう」
陳宮
(ちんきゅう)


「快諾いただきありがたく存じます。
陛下の代理人である曹操も喜びましょう。それでは失礼いたします」
董昭
(とうしょう)


「……将軍。今のは陛下ではなくて曹操からの命令ですが」
成廉
(せいれん)


「fdhakl;soip」
呂布
(りょふ)


「それは私も理解しています。
しかしそれは私の意思に沿うものです。私も徐州を返還したいと思っているのです」
陳宮
(ちんきゅう)


「はいはい、そう言うと思ったよ。まーた放浪生活に逆戻りかよ」
張遼
(ちょうりょう)


「口を慎め張遼。我々は呂布将軍に従うだけだ」
高順
(こうじゅん)


「わーってるよ。でもグチくらい言わせろや」
張遼
(ちょうりょう)


「…………」
侯成
(こうせい)



徐州 西部 泰山(たいざん)

臧覇
(ぞうは)

泰山の山賊。呂布の盟友



「意外と早く徐州に戻れることになってよかったなあ、張さん」
劉備
(りゅうび)


「フン、どうだかね、おおかた呂布の伏兵が途中で襲いかかってくるんじゃないかしら」
張飛
(ちょうひ)


「あいかわらず張さんは呂布嫌いなんじゃのう。
それより、戻ったら本当にわしが刺史になっていいのか?」
劉備
(りゅうび)


「言ったでしょ。アタイは二番手がお似合いだって。
心配しなくてもアンタに仕事は頼まないわよ。
アタイや関羽がやるから、アンタは黙ってお飾りになってればいいのよ」
張飛
(ちょうひ)


「はっはっはっ。そりゃあ気楽で助かるのう」
劉備
(りゅうび)


「…………ッ!」
関羽
(かんう)


「どうしたの関羽? 山頂の方なんて指さして――」
張飛
(ちょうひ)


「ゴルァ! 呂布将軍の徐州を明け渡すわけにはいかぬ。
この泰山を生きて通れると思うな。者どもかかれッ!」
臧覇
(ぞうは)


「言わんこっちゃない! 呂布の伏兵よ!」
張飛
(ちょうひ)


「呂布め、約束を反故にするとはな!
急ぎ本隊を呼んでくる。お前たちも早く逃げよ!」
曹洪
(そうこう)


「やれやれ、また逃げるのか……」
劉備
(りゅうび)



徐州



「sfhsa;98kssdfo!!」
呂布
(りょふ)


「いったい誰ですか。勝手に泰山の兵を動かしたのは。
こんなことは私は許しません。望んでいないのです」
陳宮
(ちんきゅう)


「しかし曹操軍は我々を逆賊と断じ、すでにこちらに進軍してきている。迎え撃つしかあるまい」
侯成
(こうせい)


「……やむをえんな。張遼、出撃するぞ。
呂布将軍、陳宮、侯成、成廉は城を守ってくれ」
高順
(こうじゅん)


「おうよ。要は勝てばいいんだよ勝てば」
張遼
(ちょうりょう)


「……侯成、やってくれたな」
高順
(こうじゅん)


「なんのことですかな?」
侯成
(こうせい)


「お前は臧覇と同郷で親しくしている。奴を動かすことができたと言っているのだ」
高順
(こうじゅん)


「俺が臧覇に呂布軍を名乗らせて張飛を襲わせたと? 証拠でもあるんですか」
侯成
(こうせい)


「無い。だがこれ以上、勝手な真似をしたら許さんぞ」
高順
(こうじゅん)


「…………」
侯成
(こうせい)


「行くぞ張遼」
高順
(こうじゅん)


「お気をつけて」
成廉
(せいれん)



許昌の新都




「呂布軍は高順が外に布陣し、城は呂布が守り、
我々の背後の泰山(たいざん)には臧覇(ぞうは)が控えているそうじゃ」
程昱
(ていいく)


「厄介な陣立てですな。我々も兵を分けるしかありますまい」
荀攸
(じゅんゆう)


「あはは。ただでさえ馬鹿強い呂布を相手に兵力を分散させないといけないとは、先が思いやられますね」
荀彧
(じゅんいく)


「でも呂布君が籠城しているのは幸いだ。彼とは野戦ではやり合いたくないからね。
兵の割り振りだけど、城攻めは軍師団に任せて、夏侯惇君ら武闘派には高順君たちの相手をお願いしよう」
曹操
(そうそう)


「おう、任せろ」
夏侯惇
(かこうとん)


「音に聞こえた高順! 張遼! 腕が鳴るぜ!」
曹仁
(そうじん)


「泰山の臧覇君もただの山賊とはあなどれない豪傑だと聞いている。彼の相手は――」
曹操
(そうそう)


「劉備」
郭嘉
(かくか)


「そうだね。劉備君にも手伝ってもらおう。
彼の少ない兵力でも、臧覇君を釘付けにすることくらいはできるだろう。
大事なのは、三手に分かれた呂布軍を連携させないことだ。彼らを孤立させ、各個撃破しよう」
曹操
(そうそう)



徐州 下邳(かひ)城




「曹操軍は部隊を分け、高順殿、臧覇殿の軍、そして我々のこもる下邳城へと当てました」
成廉
(せいれん)


「チッ。三分割してもこれだけの兵数で包囲できんのかよ。
青州黄巾軍30万を加えた兵力は伊達じゃねえな」
侯成
(こうせい)


「jsdfk;osap989」
呂布
(りょふ)


「このまま包囲を続けられたら、兵糧が尽きてしまいます。
その前に包囲を破り、通路を確保します。さらに援軍を呼びましょう。ミスター袁術に頼むのです。
私が出撃します。そして敵を倒します。その隙にミスター成廉は脱出して下さい」
陳宮
(ちんきゅう)


「そして袁術殿に援軍を求めるのですね。わかりました」
成廉
(せいれん)


(お人好しの呂布ならいざ知らず、袁術が兵を出すものか……)
侯成
(こうせい)



揚州(ようしゅう) 寿春(じゅしゅん)




「――というわけです。袁術様にぜひともお力添えをいた」
成廉
(せいれん)


「陛下」
袁術
(えんじゅつ)


「は?」
成廉
(せいれん)


「陛下ザンス。ミーは皇帝陛下ザンス。陛下と呼ぶザンス」
袁術
(えんじゅつ)


「失礼いたしました、袁術皇帝陛下」
成廉
(せいれん)


「ヒャッヒャッヒャッヒャッ!
――で、成廉とやら。呂布を助けてミーに何の得があるザンスか?」
袁術
(えんじゅつ)


「曹操は陛下――献帝陛下を傀儡とし、勝手に遷都を進めるなど横暴を極めています。
彼奴に対抗するため、呂布や袁術陛下が手を取り合うのが最善だと考えます」
成廉
(せいれん)


「フーン。周瑜はどう思うザンス?」
袁術
(えんじゅつ)


「悪い話ではありません。これ以上曹操の台頭を許せば、いずれは袁術陛下の覇道の妨げとなります」
周瑜
(しゅうゆ)


「じゃあ孫策に命じて呂布を助けさせるザンス」
袁術
(えんじゅつ)


「! それはおやめください。
孫策は考えなしに急激に版図を拡大したせいで、各地で反乱を招き、その鎮圧に手一杯です。
いま孫策を江東から離せば、収拾がつかなくなる恐れがあります」
周瑜
(しゅうゆ)


「そうザンスか。周瑜の言うことに間違いはないザンス。
孫策を呼ぶのはやめるザンス。
それに、ミーにもっと良い案が浮かんだザンス」
袁術
(えんじゅつ)


「良い案とはなんですか陛下」
楽就
(がくしゅう)


「ヒャッヒャッヒャッヒャッ。
それは……呂布から徐州(じょしゅう)を奪い取ることザンス!」
袁術
(えんじゅつ)


「!」
成廉
(せいれん)


「ミーと曹操に挟み撃ちされたら、呂布もひとたまりもないザンス。
ミーはねんがんの徐州をてにいれるザンス!」
袁術
(えんじゅつ)


「その役目は俺に任せてくれ陛下!
浪人の俺を拾ってくれた恩返しをするぜ」
楊奉
(ようほう)


「よく言ったザンス! 楊奉は楽就、陳蘭、雷薄とともに出撃するザンス!
成廉とやらは見逃してやるザンスから、呂布にミーの宣戦布告を伝えてくるザンス」
袁術
(えんじゅつ)


「……しかとお伝えしましょう」
成廉
(せいれん)


(袁術の野心は膨らむ一方だ。そろそろ私でも制御できなくなってきたか……)
周瑜
(しゅうゆ)



徐州 下邳(かひ)城




「袁術が攻めて来るだと?
成廉、てめえ失言でもして怒らせたんじゃねえのか」
侯成
(こうせい)


「……私の力が足りなかったのだろう」
成廉
(せいれん)


「gjsakl;9a0ssk」
呂布
(りょふ)


「仲間割れをしている場合ではありません。
それよりもミスター曹操とミスター袁術の二人を、同時に相手にする方法を考えましょう」
陳宮
(ちんきゅう)


「同時に相手にする必要はない」
陳珪
(ちんけい)


「誰かと思えばジジイか。俺たちにあっさり降った老いぼれが何の用だ」
侯成
(こうせい)


「この年になると外出もおっくうでな。張飛殿に従って落ち延びる気力はなかった。
だが、この徐州と自分の身を守るためにはなんでもするぞ」
陳珪
(ちんけい)


「策があるのですか」
成廉
(せいれん)


「曹操軍は、袁術軍との衝突を避けていったん城の包囲を解いた。
あとは袁術軍を素早く一撃で片付けるだけでいい。すでに手は打った。
呂布将軍は出撃の準備をされよ」
陳珪
(ちんけい)



徐州 南部 袁術軍




「だから先陣は俺に譲れと言っている。お前は後ろに引っ込んでいろ」
楊奉
(ようほう)


「誇り高き官軍の先陣を務めるのは私だ。
降将ふぜいが大口を叩くな。先陣も司令官も私なのだぞ!」
楽就
(がくしゅう)


「楊奉、ここは楽就将軍の顔を立てろ」
陳蘭
(ちんらん)


「まったく軍隊ってのは面倒くせえな。これなら山賊やってたほうが気楽だったぜ!」
楊奉
(ようほう)



袁術軍 楊奉軍 陣営

陳登
(ちんとう)

陳珪の息子




「あいつら本当の陛下に仕えたこともある俺をなめやがって……」
楊奉
(ようほう)


「楊奉殿」
陳登
(ちんとう)


「なんだお前は」
楊奉
(ようほう)


「呂布将軍のもとから参った、陳登という者だ。折り入って話がある」
陳登
(ちんとう)


「呂布だと? 敵の間者がぬけぬけと何の用だ」
楊奉
(ようほう)


「見れば随分と窮屈な思いをしている様子。
気楽な山賊稼業をしていた楊奉殿にとっては、さぞ居心地が悪かろう。
そのうえ袁術は皇帝を名乗り、部下は官軍としてますます規律を求められることだろうな」
陳登
(ちんとう)


「……何が言いたいのだ?」
楊奉
(ようほう)


「呂布に寝返れ。呂布は袁術や楽就とは比べ物にならぬほど、懐の広い男だ。
泰山(たいざん)の山賊である臧覇(ぞうは)や、
張飛に仕えていた私のような者でも受け入れている」
陳登
(ちんとう)


「むむむ」
楊奉
(ようほう)


「呂布はそのうえ気前のいい男だ。ほれ、こうして手土産も持参した。少ないが取っておけ」
陳登
(ちんとう)


「き、金塊をこんなにくれるのか……」
楊奉
(ようほう)


「今すぐ選べ。
袁術のもとで冷や飯を食うか。それとも呂布に寝返り厚遇されるか」
陳登
(ちんとう)


徐州 南部 袁術軍




「陳蘭! いったい何がどうなっているのだ!」
雷薄
(らいはく)


「楊奉が呂布に寝返り、楽就を殺した。それだけだ」
陳蘭
(ちんらん)


「それだけってお前、そりゃ一大事じゃねえか。
お、おいどこに行くんだ?」
雷薄
(らいはく)


「呂布軍が攻めかかってきてるんだ。逃げるに決まってるだろう。
……俺はもううんざりだ。袁術に未来はない。
楊奉の言葉じゃないが、山賊にでもなるさ」
陳蘭
(ちんらん)


「そういうことなら俺も一枚噛ませろ。
このまま戦っても呂布に殺されるし、逃げ帰ったら袁術に殺される」
雷薄
(らいはく)


「お前……意外と目端の利く奴だったんだな。
いいだろう、組もうぜ雷薄」
陳蘭
(ちんらん)



徐州 下邳(かひ)城




「hsgkl98salsd0」
呂布
(りょふ)


「ミスター袁術は退けました。しかし戦いはこれからです。
ミスター袁術よりもずっと手強いミスター曹操と戦わねばならないのです」
陳宮
(ちんきゅう)


「高順殿も臧覇殿も善戦しているとの連絡が入りました。
呂布将軍さえいれば恐れるものはありません!」
成廉
(せいれん)


(今回はうまく行ったが、次の相手は曹操だ。そう何度もまぐれは続かねえよ。
この単純バカどもと運命をともにするのは危険だ……)
侯成
(こうせい)





かくして呂布は袁術を退けた。
しかし真に恐るべき敵は曹操であり、危難は去っていなかった。
はたして呂布に逆転の次なる一手はあるのか?




〇二六   呂布、最後の戦い 後編