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三 国 志

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〇三四   官渡の戦い





官渡(かんと) 袁紹陣営




「ふむ、劉備が敗れたか。まあどうせ駄目元で送り込んだのだ。大勢に影響はない」
審配
(しんぱい)


「十分に後方撹乱はできた。いい厄介払いにもなったな」
逢紀
(ほうき)


(……人望のある劉備を手元に置いておけばいろいろと使い道はあったのだ。
田豊殿や私に発言権が残っていれば、むざむざ劉備を手放しはしなかった)
沮授
(そじゅ)


「デュフフwww 袁譚(えんたん)殿、袁煕(えんき)殿から準備が整ったと連絡が入りましたぞ。
これで拙者たちと合わせ三方から一斉に侵攻できる(笑)
うはww キタコレww 楽勝wwwww」
許攸
(きょゆう)


「よし、もはや機は熟した! 名族の名族による名族のための戦を始めようぞ!」
袁紹
(えんしょう)




官渡

高覧
(こうらん)
張郃
(ちょうこう)
袁尚
(えんしょう)

袁紹の将

袁紹の将

袁紹の三男
李典
(りてん)
劉曄
(りゅうよう)

曹操の将

曹操の策士



「いよいよだな。敵は袁譚と袁煕の東西の方面軍に半数の兵を分けたが、
それでも五十万もの大軍が揃っている」
曹洪
(そうこう)


「これだけの大軍ともなると、地を埋め尽くすようなという表現がぴったりだな」
夏侯惇
(かこうとん)


「腕が鳴るぜ! 殿! 早く俺に出陣を命じてくれ!」
夏侯淵
(かこうえん)


「そう焦るな。まずは挨拶をして来るとしよう。
――久しぶりだね、袁紹君。董卓君のもとから逃げ出して以来かな」
曹操
(そうそう)


「元気そうだな曹操! あの頃はまだお前と名族にさほどの差はなかった。
だがこの兵力差を見よ! いまやお前と名族の間には覆すことのできない決定的な溝ができてしまった!」
袁紹
(えんしょう)


「兵の多寡は関係ないよ。僕は君のところよりも優秀な人材を揃えたつもりさ。
それに献帝陛下は僕のもとにいる。正義は我にありってところだね」
曹操
(そうそう)


「恐れ多くも陛下を傀儡の立場に置く逆賊めが、正義とは片腹痛いわ!
お前から陛下と正義の旗印を奪い返してくれる!」
袁紹
(えんしょう)


「いい切り返しだね。あの檄文を書いたという陳琳(ちんりん)君の台本かな?」
曹操
(そうそう)


「ほう、よくわかったな」
袁紹
(えんしょう)


「と、殿……」
審配
(しんぱい)


「正義や悪だのの水掛け論はおいておこう。袁紹君、君は僕にとって越えなければいけない壁だ。
僕の全力をもって越えさせてもらうよ」
曹操
(そうそう)


「望むところだ曹操! 名族の恐ろしさを思う存分味わうがいい!
まずは個の力を見せつけてくれる。行け高覧よ!」
袁紹
(えんしょう)


「はッ!」
高覧
(こうらん)


「待たせたね夏侯淵君、一番手は君だ!」
曹操
(そうそう)


「待ちくたびれたぞ! うおおおおお!!」
夏侯淵
(かこうえん)


「むうううううん!!」
高覧
(こうらん)


「夏侯淵ばかりにいい格好させるかよ! 俺と戦いたい奴は出てきやがれ!」
夏侯惇
(かこうとん)


「待ていっ!」
??
(??)


「!?」
夏侯惇
(かこうとん)


「己の武勇を頼りに我を通そうとする者。自らの足元に口を開けた陥穽に気づかない。
人、それを蛮勇と言う……」
??
(??)


「何者だてめえ!」
夏侯惇
(かこうとん)


「貴様らに名乗る名前はない!
行くぞ! 張郃ボンバー!」
張郃
(ちょうこう)


「うるせえ! 道化が俺にかなうと思ったか!」
夏侯惇
(かこうとん)


「笑止! 陛下を脅かす逆賊が俺に勝つ気でいるとはな!
はあああああああッ!!」
張郃
(ちょうこう)


「! こいつ……できる!」
夏侯惇
(かこうとん)


「顔良(がんりょう)と文醜(ぶんしゅう)を欠いてもなお、夏侯将軍たちと互角に戦える者がいるとは……」
荀攸
(じゅんゆう)


「まだまだこっちにも切り札はあるさ。――曹洪君」
曹操
(そうそう)


「おう! お呼びがかからなかったら恨んでたぜ。
俺と戦える奴はいないか!?」
曹洪
(そうこう)


「パパ! あいつはオレに任せろ!」
袁尚
(えんしょう)


「よくぞ言った袁尚! 名族の血は武勇にも応用できるのだと教えてやれ!」
袁紹
(えんしょう)


「袁紹の三男坊だと? 面白い、おぼっちゃまがどんな技を使うのか見せてみろ!」
曹洪
(そうこう)


「くらえッ! 袁家流奥義!!」
袁尚
(えんしょう)


「なにィッ!?」
曹洪
(そうこう)


「チッ、かわしたか。やるじゃん」
袁尚
(えんしょう)


「こいつは油断ならん……」
曹洪
(そうこう)


「あのドラ息子やりおるわ。曹洪と同等に斬り結んでおる」
程昱
(ていいく)


「感心してばかりもいられない。一騎討ちの次は軍を動かすとしよう。
于禁君、張遼君。左右から挟撃するんだ」
曹操
(そうそう)


「待ってたぜ!」
于禁
(うきん)


「ヤローども続け!」
張遼
(ちょうりょう)


「おうおう、少ない兵力で工夫して攻めて来るな。
だがただでさえ少ない兵を分けたのは失敗だ。于禁、張遼は無視して曹操の本隊を攻めるぞ」
逢紀
(ほうき)


「名族もそう思っていたところである! 全軍進め!!」
袁紹
(えんしょう)


「て、敵は全軍を挙げて一直線にこちらに向かってくるぞ!」
王朗
(おうろう)


「かかったね。――今だよ郭嘉君!」
曹操
(そうそう)


「発射」
郭嘉
(かくか)


「射ちます、はい」
李典
(りてん)


「うおおおお!? な、なんだこの轟音は!」
袁紹
(えんしょう)


「い、いったいどうなってやがる!?」
夏侯惇
(かこうとん)


「マ、マジありえねえってwww
い、岩が空を飛んでくるんですけどwwwww」
許攸
(きょゆう)


「投石車だと……」
沮授
(そじゅ)


「命中率が悪いな。まあ袁紹にばれないよう秘密裏に造っていたから試射もできなかったんだ。
このくらいでも上出来だろう」
劉曄
(りゅうよう)


「被害はさほどでもないが、兵が動揺している! これでは戦にならんぞ!」
審配
(しんぱい)


「やむをえん、戦略的撤退だ! 一時的に陣を後方へ下げろ!」
袁紹
(えんしょう)


「まずは将を押し出し一騎討ちを挑み、次いで左右に兵を回す常套手段と見せ、
虚を突いて新兵器で圧倒する。なるほど、これが曹操殿の戦か……」
賈詡
(かく)



官渡 曹操陣営




「初戦はとりあえず物にできたかな。ご苦労だったねみんな」
曹操
(そうそう)


「おい曹操! あんな物を投入するなら最初から言っておけ!
大岩に頭上を飛び回られたら落ち着いて一騎討ちもできんぞ!」
夏侯惇
(かこうとん)


「いや、俺は聞いていたが」
夏侯淵
(かこうえん)


「俺も投石車を実戦投入すると知っていた。あんなにすさまじい物だとは思わなかったがな」
曹洪
(そうこう)


「ああ、そういえば夏侯惇君にだけは言い忘れていたかな」
曹操
(そうそう)


「てめえわざとだろ……」
夏侯惇
(かこうとん)


「はっはっはっ。夏侯惇が本気で驚いたなら、相手はもっと驚いたじゃろうな」
程昱
(ていいく)


「それより今日、一騎討ちをしてもらった相手はなかなかの使い手だったね。
袁紹君の三男坊は無理としても、他の二人はぜひ味方にしたいくらいだ」
曹操
(そうそう)


「もしや、人の力で袁紹を上回ろうという、殿の言葉とは……」
荀攸
(じゅんゆう)


「そう、袁紹君の陣営を少しずつ切り崩すんだ。
すでに顔良君、文醜君、劉辟君は討った。劉備君や張飛君も追い出した。
田豊君や沮授君は、袁紹君が自ら遠ざけてくれたね。
実に順調じゃないか。この調子で袁紹君の側に一人も残らないようにしてしまおう」
曹操
(そうそう)





かくして袁紹との初戦は曹操が物にした。
兵ではなく人を切り崩す曹操の作戦は功を奏したかに見えたが、
いまだ圧倒的な兵力差を誇る袁紹軍の優位は崩れていなかった。




〇三五   見参! 烏巣特戦隊!!