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三 国 志

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〇三六   激戦! 烏巣特戦隊!!





烏巣(うそう)




「どうしたお前たち! 押されているぞ! それに敵将の首はまだ持って来られないのか!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「そ、それが敵に援軍が到着しまして……」
韓莒子
(かんきょし)


「援軍? ここからでは見えないぞバカ野郎! いったい何人来たんだ!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「数こそ百足らずですが、いずれも我々と同じ隠密行動に長けた暗殺部隊のようです。
隊長格が次々と討ち取られています。間もなくここにも現れ――ぎゃあああ!!」
韓莒子
(かんきょし)


「截天夜叉・何曼! 参上!」
何曼
(かまん)


「その薄汚い黄色い出で立ちは……てめえ黄巾賊だなこの野郎!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「薄汚い黄色はお互い様であろう。さあ、覚悟してもらおうか!」
何曼
(かまん)


「待てい!」
??
(??)


「なに!?」
何曼
(かまん)


「黄巾賊よ地の声を聞け! いかに表面を取り繕おうと、犯した罪の重さは隠せない。
人それを『糊塗』という」
??
(??)


「何者だ!」
何曼
(かまん)


「貴様らになのる名はない!
喰らえ! ストームキック!」
張郃
(ちょうこう)


「くっ! 私の仮面を真似るとはこしゃくな……」
何曼
(かまん)


「これは俺のオリジナルだ! 貴様こそ俺の真似をするな!」
張郃
(ちょうこう)


「どうでもいいが張郃、お前の勘が当たったな。
曹操軍の本陣攻撃の命令を無視して、烏巣の救援に行くと聞いた時は、耳を疑ったが」
高覧
(こうらん)


「我が剣が導いてくれたのだ。高覧、ここは俺に任せてお前は他の者を頼む」
張郃
(ちょうこう)


「ああ」
高覧
(こうらん)


「よ、よし。私も反撃に移るぞバカ野郎!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「まずいな。早くお前を片付けて戻らなくては……」
何曼
(かまん)


「早く片付けられるのは貴様の方だ。トォーーッ!」
張郃
(ちょうこう)



烏巣




「……俺相手に二人がかりとは光栄なこった」
何儀
(かぎ)


「別にあなただからというわけじゃないわ。
単に二人でやったほうが、楽に勝てるというだけ」
趙叡
(ちょうえい)


「逃げ場はないぞ」
眭元進
(すいげんしん)


(まともにやったら俺に勝ち目はないな……。すると選択肢は3つか。
1、色男の何儀は突如、反撃の名案がひらめく。
2、仲間が来て助けてくれる。
3、助からない。現実は非情である)
何儀
(かぎ)


「何をブツブツと言ってるの? 死になさい!」
趙叡
(ちょうえい)


(俺の答えは2と行きたいところだが、敵にも援軍が現れたようだ。
仲間にもそんな余裕はないだろう。あばよみんな……)
何儀
(かぎ)


「ん? なんだこの音は――あああああ!?」
眭元進
(すいげんしん)


「い、石!? ど、どこから石が飛んできたの!?」
趙叡
(ちょうえい)


「投石車は拠点攻撃にも有効です。そのために私が烏巣攻撃に加わっているのです、はい」
李典
(りてん)


「よ、よくも眭元進を……。お、覚えてなさいよ!」
趙叡
(ちょうえい)


「……まさか石が助けに来てくれるとはな」
何儀
(かぎ)


「あなたを助けたのは石や私ではないです。投石車を手配した曹操様です、はい」
李典
(りてん)


「そういうことにしておこう。あんた、さっきの奴を追うぞ」
何儀
(かぎ)



烏巣

郭図
(かくと)

袁譚の軍師



「これぞ武人のたゆまぬ研鑽が産んだ奥義!」
徐晃
(じょこう)


「ほらほらどうした! オイラはこっちだよ!」
楽進
(がくしん)


「一つ! 二つ! 三つ! 四つ! 五つ!」
于禁
(うきん)


「オラオラ、雑魚は道を開けろっつーの!」
張遼
(ちょうりょう)


「な、なんて常識はずれの連中だ。敵の半数は蹴散らしてしまったぞ」
張繍
(ちょうしゅう)


「ようやく小生も彼らの性格をつかんだ。ある程度は制御できるようになってきたな。
まだまだここからであるぞ」
賈詡
(かく)


「お、おい! 賈詡、あれを見ろ!」
張繍
(ちょうしゅう)


「敵の増援……であるか」
賈詡
(かく)


「烏巣が危ういという急報は確かでしたな。この窮地を救えば我らは英雄となりますぞ!」
郭図
(かくと)


「英雄か……ぐふふふふふ。よし、かかれい!」
袁譚
(えんたん)


「あれは袁紹の東部方面軍を統括している袁譚だな。
ふむ、戦線を放棄してここに出張ってくる愚策をとるとは想定していなかったな」
賈詡
(かく)


「お、俺たちは勝てるのか……?」
張繍
(ちょうしゅう)



烏巣




「くっ! さらに増援が現れるとはさすがに苦しくなったな……」
何曼
(かまん)


「周りを気にしている余裕があるのか? そこだ!」
張郃
(ちょうこう)


「させるか!」
何曼
(かまん)


「そうやすやすと隙を見せてはくれぬか……」
張郃
(ちょうこう)


「そこにいるのは敵将か!」
袁譚
(えんたん)


「袁譚様! こいつは俺に任せて、あなたは他の敵を――」
張郃
(ちょうこう)


「今だ射ていッ!」
郭図
(かくと)


「なっ!? なにをするのだ袁譚様!」
張郃
(ちょうこう)


「フン、敵将を討ち取る好機だというのに、そこにいるお前が悪いのだ。
かまわん、張郃ごと射殺せ!」
袁譚
(えんたん)


「な、なんということを……」
張郃
(ちょうこう)


「何をぼさっとしている! どけ! ぐうううううッ!!」
何曼
(かまん)


「お、お前! なぜ俺をかばった!?」
張郃
(ちょうこう)


「さあな……。私の獲物を横取りされたくなかったの、かもな……」
何曼
(かまん)


「なにが獲物を横取りだ……ッ!
お前がそんな男でないことは、剣を交えてわかっている。
俺との勝負を邪魔されたくなかったのだろう?」
張郃
(ちょうこう)


「フッ……。それより、これを受け取ってくれ。
そんなダサい仮面なんかより、かっこいいだろ……?」
何曼
(かまん)


「何曼……。黄巾賊と罵って済まなかった。お前は、お前は……」
張郃
(ちょうこう)


「よせ……。私はただの、黄巾賊、だ……。
それで……いい……」
何曼
(かまん)


「何曼!!」
張郃
(ちょうこう)


「やっとくたばったか。それにしても張郃?
敵にかばわれるなんて怪しいなあ? お前ひょっとして曹操と内通し――」
郭図
(かくと)


「……許せん」
張郃
(ちょうこう)


「な、なんだと?」
袁譚
(えんたん)


「それが名族の御曹司のやることかーーッ!」
張郃
(ちょうこう)


「か、何曼とやらの仮面を着けてなんのつもりだ!?」
郭図
(かくと)


「知れたことを……。これより俺は曹操に、いや何曼の遺志に味方する!
行くぞ! サンダーボルトスクリュー!」
張郃
(ちょうこう)


「い、いかん! 退け! いや後方に向かって全力で走れ!」
袁譚
(えんたん)



烏巣

張雷公
(ちょうらいこう)
左髭丈八
(さしじょうはち)

黒山賊の頭目

黒山賊の頭目



「曹操軍の指揮官はあそこだ!」
高覧
(こうらん)


「かかってこい! しゃあこの野郎!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「烏巣からも反撃に転じてきたぞ! ど、どうするのだ賈詡!?」
張繍
(ちょうしゅう)


「……よもやここまで想定していたとはな」
賈詡
(かく)


「な、なに?」
張繍
(ちょうしゅう)


「一度でもあなたを殺せると考えた私が愚かだったのだな。
曹操殿、貴殿に小生はかなわぬようだ……」
賈詡
(かく)


「か、賈詡よ。さっきからいったい何を言って――」
張繍
(ちょうしゅう)


「さらなる援軍の到着だ」
賈詡
(かく)


「まさか黄巾賊と共同戦線を張ることになるとはな」
張燕
(ちょうえん)


「だが曹操は袁紹と違い、俺たちを山賊だと蔑視していない。
あの黄巾賊どもの命を張った戦いぶりを見れば、それがよくわかる」

左髭丈八
(さしじょうはち)


「ああ。――これより我ら黒山賊は曹操軍を救援する!
なお烏巣の武具・兵糧は略奪し放題だ!」
張燕
(ちょうえん)


「ウオォーーーーーーーーーン!!」
張雷公
(ちょうらいこう)


「こ、黒山賊だと? 奴らは袁紹と同盟していたのではないのか?」
張繍
(ちょうしゅう)


「曹操殿は敵陣営の切り崩しが難しいと見るや、外堀を攻めていったのだ。
それにしても、黄巾賊に黒山賊か……。ククク、曹操殿にしか作れない援兵であるな」
賈詡
(かく)



烏巣




「ぐはあああああ!!」
呂威曠
(りょいこう)


「敵将討ち取ったり!」
徐晃
(じょこう)


「ちぇっ、徐晃に先を越されちゃったよ」
楽進
(がくしん)


「これで敵は一掃したかな。後方の賈詡のダンナが襲われてるそうだ。
張遼が向かってるけど、おれっちらも助けに行こうぜ」
于禁
(うきん)


「于禁殿、大事なことをお忘れではないか」
徐晃
(じょこう)


「ああそうだった。それが目的で戦ってたんだったな。
よし、一部の兵糧を奪って、後は火を放っちまいな!」
于禁
(うきん)



烏巣




「ああっ! か、郭図! 兵糧庫の方角から火が上がったぞ!」
袁譚
(えんたん)


「あの様子ではもう消火もできませんな。
これ以上、烏巣に留まる意味はありません。引き上げましょう」
郭図
(かくと)


「そ、そうだな。我々は烏巣に来なかった! そういうことにしておこう。
東方に転進するぞ!!」
袁譚
(えんたん)


「ああ……烏巣が燃えている……。
袁譚様も逃げていく……」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「ドラ息子め……。持ち場を放棄して乱入しておいて、ろくに働きもせずに逃げおったか!」
高覧
(こうらん)


「こ、高覧! どこに行くんだこの野郎!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「張郃も曹操に降った。ドラ息子はやりたい放題する。戦も負けだ。
かくなる上は斬り死にして最期を飾るだけよ!
淳于瓊、お前も覚悟を決めるんだな。さらばだ!」
高覧
(こうらん)


「ぐっ……」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「将軍! ここにいらっしゃったのね! こ、これからどうするのよ」
趙叡
(ちょうえい)


「お、俺は……」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「大将はそこか! この俺に首を渡せ!」

左髭丈八
(さしじょうはち)


「な、なんなのあいつ!? ヒゲに武器をくくりつけて振り回してるわ!
いやーー! キモい! キモいわ!」
趙叡
(ちょうえい)


「ウオォーーーーーーーーーン!!」
張雷公
(ちょうらいこう)


「なんて大声なの!? み、耳が……ッ!?」
趙叡
(ちょうえい)


「そいやあああああッ!!」

左髭丈八
(さしじょうはち)


「きゃああああああ!!」
趙叡
(ちょうえい)


「趙叡!!」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「…………」
鄒靖
(すうせい)
何儀
(かぎ)
李典
(りてん)
張繍
(ちょうしゅう)


「囲まれたか……」
淳于瓊
(じゅんうけい)


「これで王手。さて、どうなさいますかな淳于瓊殿?」
賈詡
(かく)


「………………この野郎」
淳于瓊
(じゅんうけい)



官渡(かんと)




「どうした四十万サンよ! 雁首そろえてこの程度か!?」
夏侯惇
(かこうとん)


「この夏侯淵が弓に射抜かれたい奴は前に出ろ!」
夏侯淵
(かこうえん)


「左です! 左に敵は回り込もうとしています! 騎兵を向かわせてください!」
荀攸
(じゅんゆう)


「ええい! たかが三千の兵にいつまで手間取っているのだ!
さっさと片付けて曹操の首を持ってきて――」
袁紹
(えんしょう)


「!? ば……馬鹿な」
審配
(しんぱい)


「う、烏巣が……」
逢紀
(ほうき)


「燃えている……」
沮授
(そじゅ)


「あの炎を見たまえ! 烏巣が燃えている! 僕たちの勝利だよ!」
曹操
(そうそう)


「やってくれたかあいつら!!」
曹洪
(そうこう)


「さあ、一気に反撃じゃ! 敵は浮き足立っておるぞ!」
程昱
(ていいく)


「もらったああああ!!!」
曹仁
(そうじん)


「みwなwぎwっwてwきwたwww」
許攸
(きょゆう)


「め……名族が……負けるのか?
三千に……。曹操に……」
袁紹
(えんしょう)


「パパ、しっかりして! もうここは危険だよ! 早く逃げないと!」
袁尚
(えんしょう)


「曹操……お前の覇道は……名族を越えて……続いていくのか……」
袁紹
(えんしょう)





かくして烏巣は落ちた。
曹操は大逆転勝利を果たし、袁紹は一敗地に塗れた。
名族はこのまま没落の一途をたどるのか?




〇三七   小覇王の死